歪み率測定用フィルタ

書いたひと: 柴田 Lucy はじめ

一体何に使うものなの?

この装置はある回路や電子部品などが、 どのくらい波形を歪ませずに増幅(伝達)出来るのかを調べる装置です。

実際に使用するときは発振器とペアで使い、 発振器から、アンプなど歪みがどのくらい出るか調べたい装置へ 正弦波を入力します(図の左側が正弦波を表わしています)。 アンプの出力は歪み率測定用フィルタ (下の図では Notch Filter と書いてありますが...)に入れます。 このフィルタでは 1kHz の正弦波だけを抜き取るので フィルタの出力にはアンプで付加されてしまった歪みやノイズが出てきます (図の右側)。

完全に同じ信号を伝えることのできる装置であれば、 歪みやノイズは発生しないわけですから、 フィルタ出力の大きさを測定することで その装置がどの程度正確に波形を伝送することができるのかを 調べることができるわけです。

雑音は分かるけど歪みはなぜ出てくるの?

歪みの原因は、増幅器の増幅率が入力振幅によって変化してしまうことです (増幅器の非線形性)。 例えば、プラスの信号が入ってきたときには2倍の増幅率、 マイナスの信号が入ってきた場合には1倍の増幅率の増幅器に 最大振幅が 1 のサイン波をいれた場合には

このように上がとんがり、下の丸まった出力が出てきます。 この波形にはどのような歪みが含まれているのか 似た波形を使って考えてみます。

歪みと高調波の関係ってどうなってるの?

非線形性のある増幅器に下のグラフのようなサイン波を入れたら、

上がとんがり、下がつぶれた次のグラフのような波形がでてきたとします。

では、出力から入力の部分を引いてみるとどうなるでしょう。 つまり、増幅器によってどのように変形させられてしまったのでしょうか? グラフを重ねて出力から入力を引いてみると

正弦波が出てきます(作為的ですが...)。

この波形の周波数(音で言えば高さ)は入力信号のちょうど2倍です。 このちょうど2倍というのは偶然ではなくて、 出てくるものは常に2倍、3倍、4倍、...といった基本波の 整数倍の周波数を持つもの(これを高調波と呼びます)の和になります (実は、すべての周期波形は、基本波とその高調波の和で 表わすことができるためです。これをフーリエの定理と言います)。

つまり、波形歪みの大きさを調べるには高調波の大きさを測定すればよいわけです。


実際に見に来てくれた方へ

この情報は http://www.it.cas.uec.ac.jp/~hajime/choufusai97/ でも 公開しています。 WWW を見れる方はぜひ、アクセスしてみてください。
測定結果などは以下のページで見ることができます。

測定限界
各種オペアンプの歪み率、歪み波形
各種コンデンサーの歪み率、歪み波形


アドバイス、感想などは下記まで、お気軽に!
e-mail: hajime@it.cas.uec.ac.jp
Last modified: Mon Apr 24 21:17:44 JST 2000